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監基報700
財務諸表に対する意見の形成と監査報告
1.本報告書の範囲
11-2JP234
2.適用時期
5
Ⅱ本報告書の目的
6
Ⅲ定義
789
1.財務諸表に対する意見の形成
101112131415
2.意見の様式
16171819
3.監査報告書
20
①表題
21
②宛先
22
③監査意見
2324252627
④監査意見の根拠
2829
⑥監査上の主要な検討事項
3031
⑦その他の記載内容
32
⑧財務諸表に対する責任
33343536
⑨財務諸表監査における監査人の責任
37383940
⑩財務諸表監査における監査人の責任の記載場所
4142434445
⑫監査責任者の氏名
46
⑬監査人の署名
47
⑭監査事務所の所在地
48
⑮監査報告書日
49
(2)法令等により監査報告書の様式又は用語が規定されている場合
505152
4.財務諸表とともに補足的な情報が表示される場合(A79項からA85項参照)
5354
1.企業の会計実務の質的側面(第12項参照)
A1A2A3
2.財務諸表における会計方針の注記の適切性(第13項(1)参照)
A4
3.財務諸表に表示及び注記された情報の目的適合性、信頼性、比較可能性及び理解可能性(第13項(4)参照)
A5
4.重要な取引や会計事象が財務諸表に与える影響の注記(第13項(5)参照)
A6A7A8A9
6.適用される財務報告の枠組みについての記述(第15項参照)
A10A11A12
(1)複数の財務報告の枠組みについての記述
A13A14A15
7.意見の様式
A16A17
8.監査報告書(第20項参照)
A18A19
①表題(第21項参照)
A20
②宛先(第22項参照)
A21
ア.監査の対象
A22A23
イ.「全ての重要な点において適正に表示している」と異なる文言の使用
A24A25
ウ.財務諸表及び財務諸表が表示する事項についての記述
A26A27
エ.適用される財務報告の枠組みについての記述と当該記述が監査意見に与える影響
A28A29A30A31
④監査意見の根拠(第28項参照)
A32A33
⑤我が国における職業倫理に関する規定(第28項(3)参照)
A34A35A36A37A38A39A40
⑥監査上の主要な検討事項(第31項参照)
A41A42A43A44A45A46A47A48A49
ア.財務報告プロセスの監視(第35項参照)
A50A51
ア.監査人の責任(第38項(1)参照)
A52
イ.重要性の記載(第38項(2)参照)
A53
ウJP.内部統制の理解(第39項(2)②参照)
A53-2JP
エ.監査上の主要な検討事項に関連する監査人の責任(第40項(3)参照)
A54A55
⑩監査報告書の別紙における記載場所(第41項(2)及び第50項(11)参照)
A56A57A58A59A60A61A62A63A64A65A66A66-2JP
⑭監査報告書日(第49項参照)
A67A68A69A70
(2)法令等により監査報告書の様式又は用語が規定されている場合(第50項参照)
A71A72
①監査基準報告書701により要求される情報(第50項(8)参照)
A73A74A75A76A77A78
9.財務諸表とともに補足的な情報が表示される場合(第53項及び第54項参照)
A79A80A81A82A83A84A85
監基報700

監査基準報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」

出典:日本公認会計士協会『監査基準報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」』最終改正 2024年9月26日公式ページ:JICPA 監査実務指針等の一覧 ↗適用:2024年9月26日の改正は、2025年4月1日以後開始する事業年度の監査から適用本文(要求事項・適用指針)を収録。付録(文例・表)と「適用」の節は載せていません。本文は公式の文書から取り出し、一字一句照合しています(2026-10-19 取得)。出題された7か所に線を引いています。

1.本報告書の範囲

1
本報告書は、財務諸表に対する意見の形成に関する実務上の指針を提供するものである。また、財務諸表に対する監査の結果に基づいて発行する監査報告書の様式及び内容に関する実務上の指針を提供するものである。
1-2JP
本報告書では、国際監査・保証基準審議会の公表する国際監査基準(ISA)700において規定された、「本報告書の範囲及び適用」、「要求事項」又は「適用指針」には含まれていないが、日本公認会計士協会が本報告書の起草に当たり追加した規定については、項番号に「JP」の文字を付している。
2
監査報告書において監査上の主要な検討事項を報告する監査人の責任は、監査基準報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」で扱われている。監査人が、監査報告書において除外事項付意見を表明する場合、又は監査報告書に「強調事項」区分若しくは「その他の事項」区分を設ける場合における監査報告書の様式及び内容に関する実務上の指針は、監査基準報告書705「独立監査人の監査報告書における除外事項付意見」及び監査基準報告書706「独立監査人の監査報告書における強調事項区分とその他の事項区分」で扱われている。なお、その他の監査基準報告書にも、監査報告書を発行する場合に適用となる報告に関する要求事項が含まれている。
3
本報告書は、監査報告書の対象が完全な一組の一般目的の財務諸表であることを前提として記載されている。財務諸表が特別目的の財務報告の枠組みに従って作成されている場合や、個別の財務表又は財務諸表項目等を対象として監査を実施する場合における特別な考慮事項は、それぞれ、監査基準報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査」、監査基準報告書805「個別の財務表又は財務諸表項目等に対する監査」で扱っており、本報告書と併せて適用される。
4
本報告書の要求事項は、監査報告書の一貫性及び比較可能性を確保するとともに、利用者にとって目的適合性のある情報を監査報告書において提供することを通じて監査報告書の価値を高めることを意図している。本報告書は、監査報告書間の様式や内容等の一貫性を保持することを促すものであるが、特定の状況に適応するための柔軟性も考慮している。我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査が実施されている場合の監査報告書に一貫性が保持されていることにより、監査が我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して実施されていることを容易に認識でき、市場における監査の信頼性を高める。また、監査報告書間の様式や内容等の一貫性は、監査報告書の利用者の理解を助けるとともに、通例でない状況が生じた場合にこれを認識することを容易にする。

2.適用時期

5
本報告書の適用時期は以下のとおりである。・本報告書(2011年7月1日)は、2011年7月1日に発効し、2011年9月30日以後終了する中間会計期間に係る中間監査及び2012年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する。・本報告書(2011年12月22日)は、2012年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。・本報告書(2014年4月4日)は、2015年4月1日以後に開始する事業年度又は会計期間に係る監査から適用する。ただし、監査基準委員会報告書800又は監査基準委員会報告書805に基づいて2014年4月1日以後に監査報告書を発行する監査の場合には本報告書を適用とする。・本報告書(2019年2月27日)は、以下の事業年度に係る監査等から適用する。-監査上の主要な検討事項に関連する要求事項及び適用指針(第28項、第29項、第37項(3)、第45項(8)、A38項、A39項、A40項、A50項、A63項、A64項及び文例)は、2021年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する。ただし、2020年3月31日(米国証券取引委員会に登録している会社においては2019年12月31日)以後終了する事業年度に係る監査から早期適用することができる。-上記以外の改正は、2020年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する。・本報告書(2021年1月14日)は、以下の事業年度に係る監査等から適用する。-会計上の見積りの監査に関連する要求事項(第11項)は、2023年3月31日以後終了する事業年度に係る財務諸表の監査及び2022年9月に終了する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から実施する。ただし、それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から実施することを妨げない。-上記以外の改正は、2022年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する。ただし、2021年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から早期適用することができる。・本報告書(2021年8月19日)は、2021年9月1日から適用する。・本報告書(2022年10月13日)のうち、倫理規則に関する事項は、2023年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査から適用する。ただし、本報告書を、倫理規則(2022年7月25日変更)と併せて2023年4月1日以後終了する事業年度に係る財務諸表の監査から早期適用することを妨げない。・本報告書(2023年1月12日)は、2024年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する。また、公認会計士法上の大規模監査法人以外の監査事務所においては、2024年7月1日以後に開始する事業年度に係る財務諸表の監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する。ただし、それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用することを妨げない。その場合、品質管理基準委員会報告書第1号「監査事務所における品質管理」(2022年6月16日)、品質管理基準委員会報告書第2号「監査業務に係る審査」(2022年6月16日)及び監査基準委員会報告書220「監査業務における品質管理」(2022年6月16日)と同時に適用する。なお、本報告書(2022年10月13日及び2023年1月12日)のうち、倫理規則に関する事項は、2023年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査から適用する。ただし、本報告書を、倫理規則(2022年7月25日変更)と併せて2023年4月1日以後終了する事業年度に係る財務諸表の監査から早期適用することを妨げない。・本報告書(2024年9月26日)は、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度に係る監査並びに同日以後開始する中間連結会計期間及び中間会計期間に係る中間監査から適用する。ただし、倫理規則(2024年7月18日変更)を早期適用する場合には、併せて本報告書を早期適用する。

Ⅱ本報告書の目的

6
本報告書における監査人の目的は、以下の事項のとおりである。(1)入手した監査証拠から導いた結論の評価に基づき、財務諸表に対する意見を形成すること。(2)監査報告書において、監査意見を明瞭に表明すること。

Ⅲ定義

7
本報告書における用語の定義は、以下のとおりとする。(1)「一般目的の財務諸表」-一般目的の財務報告の枠組みに準拠して作成される財務諸表をいう。(2)「一般目的の財務報告の枠組み」-広範囲の利用者に共通する財務情報に対するニーズを満たすように策定された財務報告の枠組みをいう。財務報告の枠組みには、「適正表示の枠組み」と「準拠性の枠組み」がある。「適正表示の枠組み」は、その財務報告の枠組みにおいて要求されている事項の遵守が要求され、かつ、以下のいずれかを満たす財務報告の枠組みに対して使用される。①財務諸表の適正表示を達成するため、財務報告の枠組みにおいて具体的に要求されている以上の注記を行うことが必要な場合があることが、財務報告の枠組みにおいて明示的又は黙示的に認められている。②財務諸表の適正表示を達成するため、財務報告の枠組みにおいて要求されている事項からの離脱が必要な場合があることが、財務報告の枠組みにおいて明示的に認められている。ただし、このような離脱は、非常にまれな状況においてのみ必要となることが想定されている。「準拠性の枠組み」は、その財務報告の枠組みにおいて要求される事項の遵守が要求されるのみで、上記①及び②のいずれも満たさない財務報告の枠組みに対して使用される(監査基準報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」第12項(13)参照)。(3)「無限定意見」-適正表示の枠組みの場合、財務諸表が、適用される財務報告の枠組みに準拠して、全ての重要な点において適正に表示していると監査人が認める場合に表明される意見をいい、準拠性の枠組みの場合、財務諸表が、全ての重要な点において、適用される財務報告の枠組みに準拠して作成されていると監査人が認める場合に表明される意見をいう(第25項及び第26項参照)。
8
本報告書において、財務諸表とは、関連する注記事項を含む完全な一組の一般目的の財務諸表を意味する(監査基準報告書200第12項(9)参照)。関連する注記事項は、通常、重要な会計方針及びその他の説明情報から構成される。財務諸表の表示、構成及び内容並びに完全な一組の財務諸表が何により構成されているかは、適用される財務報告の枠組みによって定められている。我が国においては、「適用される財務報告の枠組み」に財務諸表の様式と内容、及び完全な一組の財務諸表を定める法令等が含まれることがある。
9
欠番《Ⅳ要求事項》

1.財務諸表に対する意見の形成

10
監査人は、財務諸表が、全ての重要な点において、適用される財務報告の枠組みに準拠して作成されているかどうか(適正表示の枠組みの場合は、財務諸表が全ての重要な点において適正に表示されているかどうか。)について意見を形成しなければならない(監基報200第10項参照)。第25項及び第26項において、適正表示の枠組みの場合と準拠性の枠組みの場合のそれぞれにおいて、無限定意見を表明する際に用いる表現を示している。
11
監査人は、監査意見の形成に当たり、不正か誤謬かを問わず、財務諸表に全体として重要な虚偽表示がないということについての合理的な保証を得たかどうかを判断しなければならない。この判断に当たり、監査人は以下の事項を勘案しなければならない。(1)十分かつ適切な監査証拠を入手したかどうかについての監査人の結論(監査基準報告書330「評価したリスクに対応する監査人の手続」第25項参照)(2)未修正の虚偽表示が、個別に、又は集計した場合に重要であるかについての監査人の結論(監査基準報告書450「監査の過程で識別した虚偽表示の評価」第10項参照)(3)第12項から第15項において要求されている評価
12
監査人は、財務諸表が、全ての重要な点において、適用される財務報告の枠組みに準拠して作成されているかどうかを評価しなければならない。この評価においては、経営者の判断に偏向が存在する兆候等、企業の会計実務の質的側面も勘案しなければならない(A1項からA3項参照)。
13
監査人は、適用される財務報告の枠組みにより要求される事項に基づき、特に以下を評価しなければならない。(1)経営者が採用した重要な会計方針が、財務諸表において適切に注記されているかどうか。この評価において監査人は、会計方針の記述が企業の状況に照らして目的適合性を有しているか、及び理解可能かどうかを考慮しなければならない(A4項参照)。(2)経営者が採用した会計方針が、適用される財務報告の枠組みに準拠しており、かつ適切であるかどうか。(3)経営者の行った会計上の見積り及び関連する注記事項が合理的であるかどうか。(4)財務諸表において表示及び注記された情報が目的適合性、信頼性及び比較可能性を有し、かつ理解可能なものであるかどうか。この評価において監査人は、以下を考慮しなければならない。・必要な情報が含まれているかどうか、及び当該情報が適切に分類、集計又は細分化され、性質に応じた記載となっているかどうか。・関連しない情報又は表示及び注記された事項の適切な理解を曖昧にする情報を含めることにより、財務諸表の全体的な表示が損なわれていないかどうか(A5項参照)。(5)重要な取引や会計事象が財務諸表に与える影響について、財務諸表の利用者が理解するために適切な注記がなされているかどうか(A6項参照)。(6)財務諸表の名称を含め、財務諸表で使用されている用語は適切であるかどうか。
14
監査人は、財務諸表が適正表示の枠組みに準拠して作成されている場合には、第12項及び第13項で求められている評価において、財務諸表が適正に表示されているかどうかの評価も行わなければならない。監査人は、財務諸表が適正に表示されているかどうかについて評価する場合には、以下を勘案しなければならない(A7項からA9項参照)。(1)財務諸表の全体的な表示、構成及び内容(2)関連する注記事項を含む財務諸表が、基礎となる取引や会計事象を適正に表しているかどうか。
15
監査人は、財務諸表において、適用される財務報告の枠組みについて適切に記述されているかどうかを評価しなければならない(A10項からA15項参照)。

2.意見の様式

16
監査人は、財務諸表が、全ての重要な点において、適用される財務報告の枠組みに準拠して作成されていると認める場合、無限定意見を表明しなければならない。
17
監査人は、入手した監査証拠に基づき、全体としての財務諸表に重要な虚偽表示があると認める場合、又は全体としての財務諸表に重要な虚偽表示がないと認めるための十分かつ適切な監査証拠を入手できない場合には、監査基準報告書705に従い、監査報告書において除外事項付意見を表明しなければならない。
18
適正表示の枠組みでは、適用される財務報告の枠組みにおいて要求される事項に準拠して財務諸表を作成したとしても、財務報告の枠組みにおいて具体的に要求されている以上の注記や、財務報告の枠組みからの離脱が必要な場合があることから、作成された財務諸表が適正に表示されているとは認められない場合がある。その場合には、監査人は、原因となっている事項について経営者と協議し、適用される財務報告の枠組みにより求められる事項、及びその事項がどのように解消されたかに応じて、監査基準報告書705に基づき監査報告書において除外事項付意見を表明する必要があるかどうかを判断しなければならない(A16項参照)。
19
準拠性の枠組みでは、適用される財務報告の枠組みにおいて要求される事項の遵守が求められるのみであるため、財務諸表が準拠性の枠組みに準拠して作成されている場合、監査人は、財務諸表が適正に表示されているかどうか評価することを求められない。しかし、極めてまれな状況において、財務諸表が利用者の誤解を招くと監査人が判断する場合、その原因となっている事項を経営者と協議するとともに、その事項がどのように解消されたかに応じて、監査報告書における記載の要否、及び記載する場合にはその方法について判断しなければならない(A17項参照)。

3.監査報告書

20
監査報告は記載されたものでなければならない(A18項及びA19項参照)。

①表題

21
監査報告書には、独立監査人の報告書であることを明瞭に示す表題を付さなければならない(A20項参照)。

②宛先

22
監査報告書には、契約内容に応じた宛先を記載しなければならない(A21項参照)。

③監査意見

23
監査報告書の冒頭に、「監査意見」という見出しを付した区分を設け、監査意見を記載しなければならない。
24
監査報告書の「監査意見」区分には、以下の事項を記載しなければならない。(1)監査対象である財務諸表を作成している企業の名称(2)財務諸表の監査を行った旨(3)財務諸表の名称(4)財務諸表に関連する注記事項(重要な会計方針を含む。)(5)財務諸表が対象とする日付又は期間(A22項及びA23項参照)
25
適正表示の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対して無限定適正意見を表明する場合、監査意見において、「財務諸表が、[適用される財務報告の枠組み]に準拠して、…を全ての重要な点において適正に表示している」と記載しなければならない(A24項からA31項参照)。
26
準拠性の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対して無限定意見を表明する場合、監査意見には、「財務諸表が、全ての重要な点において、[適用される財務報告の枠組み]に準拠して作成されている」と記載しなければならない(A26項からA31項参照)。
27
監査意見において、適用される財務報告の枠組みが国際会計基準審議会が公表する国際会計基準ではない場合には、監査意見において、財務報告の枠組みを設定している国を特定しなければならない。

④監査意見の根拠

28
監査報告書には、「監査意見」区分に続けて「監査意見の根拠」という見出しを付した区分を設け、以下を記載しなければならない(A32項参照)。(1)我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を実施した旨(A33項参照)(2)監査人の責任に関し、監査報告書の「財務諸表監査における監査人の責任」の区分に記載がある旨(3)監査人は、我が国における職業倫理に関する規定(特定の事業体の財務諸表監査に特有の独立性に関する規定が適用される場合には、当該独立性に関する規定を含む。)に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている旨(A34項及びA35項参照)(4)意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断した旨《⑤継続企業》
29
監査人は監査基準報告書570「継続企業」第20項から第22項に該当する場合、これらに従って、監査報告書において継続企業に関する事項を報告しなければならない。

⑥監査上の主要な検討事項

30
法令により監査報告書において監査上の主要な検討事項の記載が求められる監査においては、監査人は監査基準報告書701に従って、監査報告書において監査上の主要な検討事項を報告しなければならない。
31
前項のほか、監査人は、監査報告書において監査上の主要な検討事項を任意で報告することを契約条件により合意している場合、監査基準報告書701に従って監査上の主要な検討事項を報告しなければならない(A41項からA43項参照)。

⑦その他の記載内容

32
監査人は、監査基準報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」に従って、監査報告書において、その他の記載内容に関する報告を行わなければならない。

⑧財務諸表に対する責任

33
監査報告書には、「財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任」(監査役会設置会社の場合)という見出しを付した区分を設けなければならない(A45項参照)。
34
監査報告書の本区分では、経営者の責任として、以下の事項を記載しなければならない(A46項からA49項参照)。(1)経営者は、適用される財務報告の枠組みに準拠して財務諸表を作成する責任を有する旨、また、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用する責任を有する旨(2)経営者は、継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、財務報告の枠組みに基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合は当該事項を開示する責任を有する旨(A49項参照)
35
監査報告書の本区分では、監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)の責任として、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役(監査委員会の場合は執行役及び取締役)の職務の執行を監視する旨を記載しなければならない(A50項参照)。
36
財務諸表が適正表示の枠組みに準拠して作成されている場合、監査報告書における財務諸表に対する経営者の責任は、「財務諸表を作成し適正に表示する」と記載しなければならない。

⑨財務諸表監査における監査人の責任

37
監査報告書には、「財務諸表監査における監査人の責任」という見出しを付した区分を設けなければならない。
38
「財務諸表監査における監査人の責任」区分には、以下を記載しなければならない。(1)監査人の責任は、実施した監査に基づき、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明すること(A52項参照)。(2)虚偽表示は不正又は誤謬により発生する可能性があること、及び虚偽表示は個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断されること(A53項参照。監査基準報告書320「監査の計画及び実施における重要性」第2項参照)。
39
「財務諸表監査における監査人の責任」区分には、併せて以下を記載しなければならない。(1)監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して実施する監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持すること。(2)以下に関する監査人の責任①不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクの識別及び評価並びに評価したリスクへの対応・不正又は誤謬による財務諸表の重要な虚偽表示リスクを識別し、評価すること。・重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施すること。・監査手続の選択及び適用は監査人の判断によること。・意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手すること。②内部統制の理解・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討すること(A53-2JP項参照)。③会計方針及び会計上の見積りの評価・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価すること。④継続企業の前提の評価・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付けること。・継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明すること。・監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性があること。⑤表示及び注記事項の検討・財務諸表の表示及び注記事項が適用される財務報告の枠組みに準拠しているかどうかを評価すること。・適正表示の枠組みに従って作成されている場合、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容を評価するとともに、財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価すること。(3)監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」が適用となる場合の監査人の責任①グループ財務諸表に対する意見を形成するための基礎として、グループ内の企業又は事業単位の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するためにグループ監査を計画し実施すること。②グループ監査のために実施される監査の作業の指揮、監督及び査閲をすること。③グループ監査責任者として単独で意見表明を行うこと(監基報600第53項参照)。
40
「財務諸表監査における監査人の責任」区分には、更に以下を記載しなければならない。(1)監査人は、監査役等に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について、報告を行うこと。(2)上場企業の財務諸表監査の場合、監査人は、監査役等に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行うこと(倫理規則及び監査基準報告書260「監査役等とのコミュニケーション」第18項参照)。(3)監査基準報告書701に従って監査上の主要な検討事項を報告する場合、監査人は、監査役等と協議を行った事項のうち、当年度の財務諸表監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書に記載すること。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しないこと(A54項参照)。

⑩財務諸表監査における監査人の責任の記載場所

41
第39項及び第40項により求められている財務諸表監査における監査人の責任の記載は、以下のいずれかに含めなければならない(A55項参照)。(1)監査報告書の本文(2)監査報告書の別紙(その場合、監査報告書は別紙の記載場所に対する参照を含めなければならない。)(A56項参照)
42
欠番《⑪その他の報告責任》
43
監査人が、財務諸表に対する監査報告書において、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に基づいて財務諸表に対して意見を表明する責任に加えて、その他の報告責任についても記載する場合、その他の報告責任については、「法令等に基づくその他の報告」又はその区分の記載内容に応じた適切な他の見出しを付して、監査報告書上、財務諸表監査とは別の区分を設けなければならない(A59項及びA60項参照)。
44
欠番
45
監査報告書にその他の報告責任に関する別の区分を設ける場合、第21項から第40項に記載した事項は、「財務諸表監査」という見出しを記載し、その下に記載しなければならない。「法令等に基づくその他の報告」区分は、「財務諸表監査」区分の後に記載しなければならない。

⑫監査責任者の氏名

46
監査報告書には監査責任者の氏名を含めなければならない。

⑬監査人の署名

47
監査報告書には、署名がなされなければならない(A65項参照)。

⑭監査事務所の所在地

48
監査報告書には、監査事務所の所在地を記載しなければならない(A66-2JP項参照)。

⑮監査報告書日

49
監査報告書には、監査人が、財務諸表に対する意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手した日よりも前の日付を付してはならない。なお、以下の点について、財務諸表に対する意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手しなければならない(A67項からA70項参照)。(1)関連する注記を含む全ての財務諸表が作成されていること。(2)認められた権限を持つ者が、当該財務諸表に対して責任を認めたこと。

(2)法令等により監査報告書の様式又は用語が規定されている場合

50
法令等において、監査報告書に使用する具体的な様式や文言が規定されている場合、監査報告書に、最低限、以下の事項が含まれている場合にのみ、監査報告書において我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠している旨を記載することができる(A71項及びA72項参照)。(1)表題(2)契約内容に応じた宛先(3)「監査意見」区分。これには、財務諸表に対する意見の表明と、財務諸表の作成に用いられた適用される財務報告の枠組みの特定(我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準、修正国際基準、指定国際会計基準又は国際会計基準審議会が公表する国際会計基準でない場合、財務報告の枠組みを設定している国の特定を含む(第27項参照)。)が含まれる。(4)監査対象となった財務諸表についての記載(5)監査人は、我が国における職業倫理に関する規定(特定の事業体の財務諸表監査に特有の独立性に関する規定が適用される場合には、当該独立性に関する規定を含む。)に従って会社から独立しており、また、当該規定に従って監査人としてのその他の倫理上の責任を果たした旨(6)継続企業の前提に関して重要な不確実性に係る注記が適切である場合、監査基準報告書570第21項に基づいて記載した「継続企業の前提に関する重要な不確実性」区分に相当する区分(7)継続企業の前提に関して重要な不確実性に係る注記が適切でない場合、監査基準報告書570第22項に基づいて記載した除外事項付意見の根拠区分に相当する区分(8)監査上の主要な検討事項の記載が求められている場合、監査基準報告書701により要求される情報に相当する区分、又は法令等により、監査上の主要な検討事項に関連した追加的な情報が求められる場合、当該情報を記載した区分に相当する区分(A73項からA75項参照)(9)法令等において、監査報告書に使用するその他の記載内容に関する具体的な様式や文言が規定されている場合、監査基準報告書720第23項に基づく内容に相当する区分(10)第33項から第36項の要求事項に相当する財務諸表の作成に関する経営者の責任、及び監査役等の財務報告プロセスの整備及び運用における取締役(監査委員会の場合は執行役及び取締役)の職務の執行を監視する責任についての記載(11)我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準と法令等の名称、並びに第37項から第40項の要求事項に相当する財務諸表の監査における監査人の責任についての記載(A52項からA54項参照)(12)監査責任者の氏名(13)監査人の署名(14)監査事務所の所在地(15)監査報告書日《(3)我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準と他の監査の基準に準拠して実施される監査に対する監査報告書》
51
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行うことが求められている場合、それに加えて、監査の実施に際し、他の監査の基準も遵守する場合がある。この場合、以下のそれぞれの事項を満たす場合に限り、監査報告書において、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に加えて他の監査の基準に準拠している旨を記載することができる(A77項及びA78項参照)。(1)我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準と他の監査の基準の要求事項の間に、以下のいずれかが生じるような相違がない。①監査人が異なる意見を形成する。②我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準では「強調事項」区分又は「その他の事項」区分として記載することが要求されている特定の状況において、他の監査の基準では「強調事項」区分又は「その他の事項」区分として記載しないこととされている。(2)他の監査の基準が記載する監査報告書の様式又は文言を用いる場合、最低限、上記の第50項(1)から(15)の事項が含まれる。ただし、この場合には、第50項(11)における「法令等」は、「他の監査の基準」に読み替える。したがって、監査報告書において、他の監査の基準を明示しなければならない。
52
監査報告書は、他の監査の基準と我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準の両方に準拠している旨を記載する場合、他の監査の基準を設定している国又は設定主体を特定しなければならない。

4.財務諸表とともに補足的な情報が表示される場合(A79項からA85項参照)

53
適用される財務報告の枠組みで要求されていない補足的な情報が、監査した財務諸表とともに表示される場合には、監査人は、職業的専門家としての判断に基づき、当該補足的な情報が、その性質又は表示方法により、財務諸表の不可分の一部となるかどうかを評価しなければならない。財務諸表の不可分の一部となる場合、当該補足的な情報は監査意見の対象としなければならない。
54
適用される財務報告の枠組みで要求されていない補足的な情報が、監査した財務諸表の不可分の一部と考えられない場合、監査人は、当該補足的な情報が、監査した財務諸表から十分かつ明確に区別される方法で表示されているかどうかを評価しなければならない。補足的な情報が監査した財務諸表から十分かつ明確に区別されていない場合、監査人は、監査されていない補足的な情報の表示方法を変更するように経営者に求めなければならない。経営者がそれに応じない場合、監査人は、監査されていない補足的な情報を識別し、監査報告書において当該補足的な情報が監査されていない旨を記載しなければならない。

1.企業の会計実務の質的側面(第12項参照)

A1
経営者は、財務諸表における金額や開示に関する多くの判断を行う。
A2
会計実務の質的側面については、監査基準報告書260付録2において関連する指針が提供されている。監査人は、企業の会計実務の質的側面の検討において、経営者の判断に偏向が存在する可能性に気付くことがある。監査人は、経営者の判断における中立性の欠如の累積的な影響を未修正の虚偽表示の影響に加味した場合、全体としての財務諸表に対して重要な虚偽表示を生じさせていると判断することがある。全体としての財務諸表に重要な虚偽表示が存在するかどうかについての監査人の判断に影響を与える経営者の中立性の欠如を示す兆候としては、以下のようなものがある。・監査の過程で経営者に報告した虚偽表示を、経営者が選択的に修正している場合(例えば、利益が増加する効果のある虚偽表示は修正するが、利益が減少する効果のある虚偽表示は修正しない場合など)・会計上の見積りを行う際に経営者の偏向が存在する可能性
A3
監査基準報告書540「会計上の見積りの監査」第31項は、会計上の見積りを行う際に経営者の偏向が存在する可能性について記載している。個々の会計上の見積りの合理性に関して結論付ける際に、経営者の偏向が存在する兆候があったとしても、それだけでは虚偽表示とはならない。しかし、財務諸表に全体として重要な虚偽表示がないかどうかについての監査人の評価には影響を与えることがある。

2.財務諸表における会計方針の注記の適切性(第13項(1)参照)

A4
監査人が重要な会計方針が適切に注記されているかどうかを評価する際に考慮する事項には、以下が含まれる。・適用される財務報告の枠組みにより要求される、重要な会計方針に関する全ての事項が注記されているかどうか。・注記された重要な会計方針に関する情報に目的適合性があり、適用される財務報告の枠組みにおける認識、測定、及び表示の規準が、個々の企業の業務及び環境に応じて、取引種類、勘定残高、及び注記事項にどのように適用されているかの記述が含まれているかどうか。・重要な会計方針の記述が明瞭であるかどうか。

3.財務諸表に表示及び注記された情報の目的適合性、信頼性、比較可能性及び理解可能性(第13項(4)参照)

A5
財務諸表の理解可能性の評価には、以下に関する事項の検討が含まれる。・財務諸表に含まれる情報は、明確かつ簡潔な方法で表示及び注記されているかどうか。・重要な注記事項は、適切に強調するように配置されているかどうか(例えば、利用者が企業特有の情報を重視している場合)、及び利用者が必要な情報を識別しやすいように適切に参照が付されているかどうか。

4.重要な取引や会計事象が財務諸表に与える影響の注記(第13項(5)参照)

A6
一般目的の財務報告の枠組みに準拠して作成される財務諸表は、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を表示することが多い。監査人は、重要な取引と会計事象が、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に与える影響について、財務諸表の利用者が理解できるように、適用される財務報告の枠組みに基づいて適切な注記が行われているかどうかに関する評価には、以下の事項を考慮することが含まれる。・財務諸表の情報がどの程度目的適合性を有するか、また、企業に特有の情報をどの程度提供しているか。・想定される利用者の理解に資するように適切な注記がなされているかどうか。-適用される財務報告の枠組みに規定された認識の規準を満たさない取引又は事象から生じ得る企業の潜在的な資産又は負債の内容及び程度-取引及び事象から生じた重要な虚偽表示リスクの内容及び程度-会計上の見積りに関連して計上された金額又は注記事項(例えば、感応度分析)に影響を与える手法、仮定及び経営者の判断、並びにその変更《5.財務諸表が適正表示を達成しているかどうかに関する評価》(第14項参照)
A7
財務報告の枠組みによっては、適正表示の概念が明示又は黙示されている。例えば、国際財務報告基準においては、「財務諸表は、企業の財政状態、財務業績及びキャッシュ・フローを適正に表示しなければならない。適正な表示をするには、財務報告に関する概念フレームワークに示されている資産、負債、収益及び費用の定義と認識規準に従って、取引及びその他の事象や状況の影響を忠実に表現することが要求される」と明示されている(国際会計基準第1号「財務諸表の表示」第15項参照)。本報告書の第7項(2)に記載されているとおり、適正表示の財務報告の枠組みにおいては、具体的に要求されている以上の注記を行うことが必要な場合があることが明示又は黙示されている。例えば、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第8条の5において「この編において特に定める注記のほか、利害関係人が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する適正な判断を行うために必要と認められる事項があるときは、当該事項を注記しなければならない。」と規定されており、同様の規定が連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則や会社計算規則にも存在する。また、国際財務報告基準においても、「特定の要求事項に準拠する開示だけでは、特定の取引、その他の事象及び状況が企業の財政状態及び経営成績に与える影響を利用者が理解するのに不十分である場合には、追加的な開示を提供すること」が定められている(国際会計基準第1号「財務諸表の表示」第17項(c)参照)。
A8
表示及び注記事項の双方において財務諸表が適正表示を達成しているかどうかに関する監査人の評価は、職業的専門家としての判断に関連する事項である。当該評価は、監査人の企業に関する理解及び監査において入手した監査証拠に基づいて、企業の事実及び状況並びにその変化を考慮する。当該評価においては、例えば、財務報告の利害関係者のニーズの変化又は経済環境の変化の影響等から生じる適正表示の達成に必要な表示及び注記を考慮することがある。適正表示の達成に必要な表示及び注記が行われない場合は虚偽表示に該当し、一般的には、虚偽表示は、財務諸表全体の観点から、財務諸表の利用者の経済的意思決定に影響を与えることが合理的に見込まれる場合に重要性があると判断される。
A9
財務諸表が適正表示を達成しているかどうかを評価する際に、監査人は、経営者及び監査役等との間で、例えば以下の項目について特定の表示を選択した理由及び検討した代替案があれば、それらに関する見解を討議することがある。・財務諸表の金額が集計又は細分化される程度が適切かどうか、並びに表示及び注記事項が有用な情報を曖昧にする又は利用者の判断を誤らせる結果にならないか。・業界の適切な会計慣行が適用されているか、又はそれら慣行と異なる方法を採用している場合は、企業の状況に照らして適切で合理性があるかどうか。

6.適用される財務報告の枠組みについての記述(第15項参照)

A10
監査基準報告書200のA2項からA3項に記載されているように、経営者が財務諸表を作成する責任には、財務諸表において適用する財務報告の枠組みについて適切な記述を行うことが含まれている。この記述により、財務諸表の利用者は財務諸表が準拠している財務報告の枠組みを知ることとなる。
A11
財務諸表が、対象とする年度において効力を有する財務報告の枠組みの求める全ての事項を遵守している場合にのみ、財務諸表が適用される財務報告の枠組みに準拠して作成されているという記述が適切となる。
A12
例えば、「財務諸表は国際会計基準におおむね準拠している」等、適用される財務報告の枠組みの記述において不明瞭又は限定的な表現が含まれている場合は、財務諸表の利用者に誤解を生じさせる可能性があるため適切ではない。

(1)複数の財務報告の枠組みについての記述

A13
例えば、ある国の会計基準と国際会計基準等、財務諸表が、二つの財務報告の枠組みに準拠して作成されていると表示している場合がある。これは、二つの財務報告の枠組みに準拠して財務諸表を作成することが経営者に対して求められているか、又は経営者がそれを選択したことによるものであり、この場合には、そのどちらの枠組みも、財務諸表に適用される財務報告の枠組みとなる。財務諸表が、両方の財務報告の枠組みをそれぞれ遵守している場合にのみ、このような記述が適切となる。財務諸表が、二つの財務報告の枠組みに同時に準拠しており、調整表の作成が不要である場合に、二つの財務報告の枠組みに準拠して作成されているとみなされる。ある国の財務報告の枠組みとして、例えば、国際会計基準等他の財務報告の枠組みを採用している場合や、他の財務報告の枠組みに準拠するために障害となる事項が全て排除されているような場合でない限り、実務上、財務諸表が複数の財務報告の枠組みに同時に準拠して作成されているとみなされることはほとんどない。
A14
ある財務報告の枠組みに準拠して作成されており、かつ、他の財務報告の枠組みに基づいた結果との調整を行うための注記や補足的な明細を含む財務諸表は、当該他の財務報告の枠組みに準拠して作成されているものとはみなされない。なぜならば、当該財務諸表は、他の財務報告の枠組みが求める全ての情報を含んでいないからである。
A15
しかしながら、例えば、ある国の財務報告の枠組みに準拠して作成されている財務諸表が、国際会計基準をどの程度遵守しているかを記載している場合等、財務諸表は、ある財務報告の枠組みに準拠して作成されるとともに、追加的に、注記により他の財務報告の枠組みを遵守している程度について記載する場合がある。このような記載は、第54項に記述されるとおり、補足的な財務情報を構成することがあり、財務諸表と明確に区別することができない場合には、監査意見の対象になる。

7.意見の様式

A16
適正表示の枠組みにより求められる事項に準拠して財務諸表を作成したとしても、作成された財務諸表が適正に表示されているとは認められない場合がある。このような場合、経営者は、財務報告の枠組みにおいて具体的に要求されている以上の追加的な注記を行うか、又は極めてまれな状況において、財務報告の枠組みにおいて要求されている事項から離脱することにより、財務諸表において適正な表示を行うことが可能な場合がある(第18項参照)。
A17
監査人が、準拠性の枠組みについて監査基準報告書210「監査業務の契約条件の合意」第4項(1)に基づき、受入可能であると判断した場合には、当該準拠性の枠組みに準拠して作成された財務諸表が利用者に誤解を与えると監査人が判断することは極めてまれである(第19項参照)。

8.監査報告書(第20項参照)

A18
監査報告書は、書面又は電磁的記録によって発行される。
A19
本報告書の付録には、財務諸表に対する監査報告書の文例を記載している。これらの文例には、第21項から第49項に記載する各項目が含まれている。これらの項目の記載順序は、「監査意見」区分及び「意見の根拠」区分を除いて、一律に定めるものではないが、想定利用者にとっての項目の相対的な重要性に基づいて記載することが適切である(監基報706のA16項参照)。

①表題(第21項参照)

A20
独立監査人の報告書であることを示す「独立監査人の監査報告書」の表題は、監査人が独立性についての我が国における職業倫理に関する規定の全てを満たしていることを表明するものであり、それにより、独立監査人の監査報告書を独立監査人以外の者が発行する報告書と区別している。

②宛先(第22項参照)

A21
監査報告書の宛先は、法令等又は契約条件において規定されていることがある。監査対象となる財務諸表を作成する企業の機関設計に応じて、監査報告書の提出先を宛先とする。我が国の場合、通常、取締役会となる。

ア.監査の対象

A22
監査報告書において、例えば、監査人は監査対象とする財務諸表(すなわち、適用される財務報告の枠組みが要求する完全な一組の財務諸表を構成するそれぞれの名称と、対象とする日付又は期間、及び重要な会計方針を含む財務諸表に関連する注記事項)について監査したことを記載する。
A23
監査人は、監査した財務諸表を含む開示書類において監査対象外の情報が含まれている場合、財務諸表の利用者が監査報告書の対象となる財務諸表の記載場所を特定できるように、監査報告書上、監査した財務諸表が記載されている箇所又は頁番号を記載することを検討することが適切な場合がある。

イ.「全ての重要な点において適正に表示している」と異なる文言の使用

A24
法令等により、「全ての重要な点において適正に表示している」と異なる文言を使用することが求められていたとしても、適正表示の枠組みに準拠して作成された財務諸表が適正に表示されているかどうか評価することを求める本報告書の第14項の要求事項を実施する。
A25
監査人が無限定意見を表明する場合、意見に関連して「前述の説明を前提として」又は「~を条件として」等の表現を用いることは、表明している意見に一定の条件を付したり、意見を曖昧にしたり、若しくは除外事項付意見を想起させることになるので、適切ではない。

ウ.財務諸表及び財務諸表が表示する事項についての記述

A26
監査意見は、適用される財務報告の枠組みが定義する完全な一組の財務諸表を対象とする。例えば、多くの一般目的の財務報告の枠組みの場合、財務諸表には、貸借対照表、損益計算書、包括利益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、及び関連する注記(重要な会計方針及びその他の説明情報により構成される。)が含まれる。任意に記載された追加的な情報についても、財務諸表の不可分な一部と考えられることがある。
A27
適正表示の枠組みに準拠して作成される財務諸表の場合、監査意見には、財務諸表が、財務諸表が表示している情報(例えば、一般目的の財務報告の枠組みの多くの場合、企業の年度末における財政状態並びに同日をもって終了する年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況)を、全ての重要な点において適正に表示していると記載する。

エ.適用される財務報告の枠組みについての記述と当該記述が監査意見に与える影響

A28
監査意見において、適用される財務報告の枠組みを明記するのは、監査報告書の利用者に、監査意見表明の判断基準について知らせるためであり、適用される財務報告の枠組みは、「××国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して…」又は「国際会計基準に準拠して…」等の表現で記載される。なお、適用される財務報告の枠組みに関する当該記載にかかわらず、適正表示の枠組みに準拠して作成された財務諸表が適正に表示されているかどうか評価することを求める本報告書の第14項の要求事項を実施する。
A29
一方、適用される財務報告の枠組みに、財務報告の基準と法令等で要求される事項が含まれる場合、例えば、財務報告の枠組みは、「財務報告の基準及び××法の規定に準拠して…」等の表現で記載される。財務報告の基準と法令等において要求される事項との間に不整合が生じる場合については、監査基準報告書210第14項に記載されている。
A30
A13項に記載されているように、財務諸表は、二つの財務報告の枠組みに準拠して作成されることがあり、その場合、双方が、適用される財務報告の枠組みとなる。したがって、監査人は、財務諸表に対する意見を形成する際、それぞれの財務報告の枠組みについて別個に検討し、第25項から第27項に従って表明する監査意見では、以下のようにそれぞれの財務報告の枠組みについて記載する。(1)財務諸表が、それぞれの財務報告の枠組みを個々に遵守している場合、二つの意見を表明する。すなわち、財務諸表が適用される財務報告の枠組みのうちの一つに準拠して作成されているという意見と、財務諸表がもう一方の適用される財務報告の枠組みに準拠して作成されているという意見を表明する。これらの意見は、別個の文章で表明することもあれば、例えば、「財務諸表は、××会計基準に準拠し、かつ○○会計基準に準拠して、全ての重要な点において適正に表示されている」というように、一つの文章で表明することもある。(2)財務諸表が、財務報告の枠組みのうちの一方は遵守しているが、もう一方は遵守していない場合、財務諸表は一方の財務報告の枠組みに準拠して作成されているという無限定意見を表明することはできるが、もう一方の財務報告の枠組みに関しては、監査基準報告書705に従い限定意見又は否定的意見を表明する。
A31
A15項に記載したとおり、財務諸表は、適用される財務報告の枠組みを遵守していると表示するのに加えて、他の財務報告の枠組みをどの程度遵守しているかについて注記することがある。そのような補足的な情報は、財務諸表から明確に区別することができない場合には、監査意見の対象となる(第53項、第54項及びA79項からA85項参照)。(1)他の財務報告の枠組みの遵守の程度に関する注記事項が誤解を生じさせるものである場合には、監査基準報告書705に従って、限定意見又は否定的意見を表明する。(2)その注記事項によって誤解は生じないが、当該注記事項は利用者が財務諸表を理解するのに不可欠な重要なものであると監査人が判断する場合には、監査基準報告書706に従って、監査報告書に「強調事項」区分を追加し、当該注記事項に対する注意を喚起する。

④監査意見の根拠(第28項参照)

A32
監査意見の根拠の区分は、監査意見の表明に関する重要な前提が記載される。したがって、本報告書では、監査意見の根拠の区分は監査報告書の「監査意見」区分に続けて記載することを求めている。
A33
監査人は、監査意見を表明するに当たり準拠した監査の基準を監査報告書に明記することにより、当該監査が広く認知されている基準に準拠して行われたことを、監査報告書の利用者に対して示している。

⑤我が国における職業倫理に関する規定(第28項(3)参照)

A34
我が国における職業倫理に関する規定を遵守していることを明示することは、監査の透明性の向上に資する。
A35
我が国における職業倫理に関する規定は、品質管理基準報告書第1号「監査事務所における品質管理」で記載しているとおり、公認会計士法・同施行令・同施行規則、日本公認会計士協会が公表する会則、倫理規則及びその他の倫理に関する規定をいう。なお、特定の事業体の財務諸表監査に特有の独立性に関する規定(例えば、社会的影響度の高い事業体に対する財務諸表監査に適用される独立性に関する規定)が適用される場合には、倫理規則に基づき、その事実を公表することが求められる(倫理規則第400.24.A1項、R400.25項及びR400.26項参照)。また、公認会計士法の規定(第25条第2項及び第34条の12第4項)により監査報告書に利害関係の有無を記載することが求められているため、利害関係の記載は、従来どおり、監査報告書の末尾に記載する。
A36
欠番
A37
欠番
A38
欠番《ア.グループ監査特有の考慮事項》
A39
グループ監査の場合、監査報告書においては、通常、グループ監査人に適用される職業倫理に関する規定が記載される。これは、グループ監査においては、構成単位の監査人も、グループ財務諸表の監査に関連する職業倫理に関する規定に従うことになるためである(監基報600のA59項、A60項及びA69項からA71項参照)。
A40
一般に公正妥当と認められる監査の基準は、監査人(構成単位の監査人を含む。)が遵守すべき独立性を含む職業倫理に関する規定を定めるものではない。各国の職業倫理に関する規定は、国際会計士倫理基準審議会の「職業会計士のための国際倫理規程(国際独立性基準を含む。)」の財務諸表の監査における規定に、各国で要求されるより厳格な事項を加えて構成されていることが多い。そのため、グループ監査における職業倫理に関する規定は複雑となる可能性がある。監査基準報告書600は、グループ監査において、構成単位の監査人がグループ監査に適用される独立性に関する要求事項を遵守していない場合を含め、構成単位の財務情報に関して監査人が作業を行う上での指針を提供している(監基報600第25項及び第27項参照)。

⑥監査上の主要な検討事項(第31項参照)

A41
我が国では、財務諸表及び監査報告について広範な利用者が存在する金融商品取引法に基づいて開示を行っている企業(非上場企業のうち資本金5億円未満又は売上高10億円未満かつ負債総額200億円未満の企業は除く。)の財務諸表の監査報告書において、監査上の主要な検討事項の記載が求められる。
A42
監査人は、法令により求められていない場合であっても、監査上の主要な検討事項を任意で報告することを契約条件により合意する場合がある。例えば、多数の広範な利害関係者がおり、事業の内容及び規模を考慮すると、公共の利益への影響が高い可能性がある場合である。
A43
監査基準報告書210は、監査人が、監査の契約条件に関して、経営者と合意することを求めており(監基報210第7項参照)、また、監査の契約条件の合意における経営者及び監査役等の役割は、ガバナンスの構造及び関連する法令等による旨を説明している(監基報210のA22項参照)。監査基準報告書210は、監査契約書又は他の適切な形式による合意書において、監査人により発行されることが想定される報告書の様式及び内容に関して記載することを求めている(監基報210第8項参照)。また、法令等により監査人が監査上の主要な検討事項を報告することが求められていない場合、監査の契約条件において、監査基準報告書701の適用に関する条項を記載することを求めている。
A44
欠番《⑦財務諸表に対する責任》(第33項及び第34項参照)
A45
「監査役及び監査役会の責任」については、会社の機関設計に応じて適切な見出しを付す。
A46
監査人は、企業の特性等に照らして、財務諸表の作成に関連する追加的な責任を明示するため、第34項の経営者の責任に関して追加の記載を行うことが適切な場合がある。
A47
財務諸表に対する経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を実施するための前提として説明されている(監基報200第12項(2)参照)。また、このような経営者の責任は、監査契約書又はその他の適切な形式による合意書に記載が求められている(監基報210第4項(2)①及び②参照)。
A48
経営者の責任について規定する法令等において、会計帳簿と会計記録、又は会計システムの妥当性に対する経営者の責任について明記されている場合があるが、監査基準報告書210及び第34項においては、経営者の責任として、それらを個別に記載することは求められていない。これは、会計帳簿、会計記録及び会計システムは内部統制と不可分とみなすことができるためである。
A49
本報告書の付録において、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合には、財務諸表においてその内容等を注記することが求められている財務報告の枠組みを前提とした監査報告書の文例を示している。

ア.財務報告プロセスの監視(第35項参照)

A50
監査基準報告書260では、監査人はガバナンスの構造に応じてコミュニケーションを行うことが適切なガバナンスに責任を有する者を判断することが求められており、財務報告プロセスの整備及び運用状況の監視責任を有する者が監査人のコミュニケーションの対象となる。財務諸表の作成に責任のある者が、財務報告プロセスの整備及び運用状況の監視責任を同時に負っている場合、財務報告プロセスの監視責任に対する記載は要求されない。例えば、我が国の会社法においては、株式の譲渡制限のある株式会社は、取締役会又は監査役等の設置が求められておらず、経営者が財務諸表の作成責任及び財務報告プロセスの監視責任の両方を負っている場合がある。
A51
欠番《⑧財務諸表監査における監査人の責任》(第37項から第40項参照)

ア.監査人の責任(第38項(1)参照)

A52
監査報告書において、財務諸表の作成に関する経営者の責任と監査人の責任を区別するため、監査人の責任は、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て監査意見を表明することであると記載している。

イ.重要性の記載(第38項(2)参照)

A53
本報告書の付録は、適用される財務報告の枠組みが我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準である場合の文例を提供している。したがって、他の財務報告の枠組みの場合、重要性の概念について、財務報告の枠組みに応じて、虚偽表示は、「個別に又は集計すると、財務諸表利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される」を適宜修正する。

ウJP.内部統制の理解(第39項(2)②参照)

A53-2JP
我が国の監査基準では、監査報告書に、財務諸表監査の目的は内部統制の有効性について意見表明するものではないことについて記載することを求めている。これは、財務諸表監査において、監査人はリスク評価の過程で内部統制の評価を実施するものの、内部統制の有効性について意見表明するものではないことを財務諸表監査の目的として記載することにより、監査人の責任を明確にするものである。したがって、監査人が、財務諸表監査に併せて、内部統制の有効性に対して意見を表明している場合においても、財務諸表監査の目的は変わらないため、内部統制の評価に関する当該記載は変更する必要はない。

エ.監査上の主要な検討事項に関連する監査人の責任(第40項(3)参照)

A54
監査人は、監査人の責任に関する記載において、第40項(3)の要求事項に加えて、監査上の主要な検討事項についてより詳細な説明をすることが有用であると判断することがある。例えば、監査人は、監査を実施する上で特に注意を払った事項を決定する際、以下の項目を考慮しなければならない旨を監査基準報告書701の第8項の要求事項を用いて説明を行う場合がある。・監査基準報告書315に基づき決定された特別な検討を必要とするリスク及び重要な虚偽表示リスクが高いと評価された領域・見積りの不確実性が高いと識別された会計上の見積りを含む、経営者の重要な判断を伴う財務諸表の領域に関連する監査人の重要な判断・当年度に発生した重要な事象又は取引が監査に与える影響《⑨財務諸表監査における監査人の責任の記載場所》(第41項及び第50項(11)参照)
A55
本報告書の第39項及び第40項により監査報告書における記載が要求される情報を監査報告書の別紙に記載することにより、監査報告書の本文が簡潔となり、有用なことがある。

⑩監査報告書の別紙における記載場所(第41項(2)及び第50項(11)参照)

A56
監査報告書の本文において別紙に適切な参照を行っている場合、第41項は、第39項及び第40項で求められている財務諸表監査における監査人の責任を別紙に記載することを許容している。監査報告書において別紙への参照を行う場合に「財務諸表監査における監査人の責任」区分の記載は以下のようになる。財務諸表監査における監査人の責任監査人の責任は、実施した監査に基づき、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から監査意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬から発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に重要性があると判断される。財務諸表の監査における監査人の責任のより詳細な記載は、監査報告書の別紙X(必要に応じてページ数を記載)に含まれている。当該記載は、監査報告書の一部である。
A57
欠番
A58
欠番《⑪その他の報告責任》(第43項から第45項参照)
A59
国によっては、監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に基づく財務諸表に対する監査人の報告責任に加え、財務諸表に関連するその他の事項について報告責任を有する場合がある。例えば、監査人は、財務諸表監査の実施中に特定の事項(適切な会計記録を維持していない場合など)に気付いた場合、当該事項を報告することが求められている場合がある。また、監査人は、特定の事項(会計帳簿と会計記録、財務報告に係る内部統制、又はその他の記載内容に含まれる項目の適切性など)について追加的に特定の手続を実施し報告することが求められていたり、意見を表明することが求められていたりすることがある。特定の国における特定の追加的な報告責任に関する監査人の責任については、通常、それぞれの国の監査の基準が指針を提供している。我が国においては、財務報告に係る内部統制の監査基準に従った財務報告に係る内部統制の監査及び倫理規則が定める報酬関連情報の報告がその他の報告責任に該当する。
A60
関連する法令等により、これらのその他の報告責任について、財務諸表に対する監査報告書の中で報告することを監査人に要求又は容認していることもあれば、別個の報告書で報告することを要求又は容認していることもある。
A61
欠番
A62
欠番
A63
欠番
A64
欠番《⑫監査人の署名》(第47項参照)
A65
監査報告書には、国によっては、監査事務所名、監査人の個人名又はその両方のいずれかの署名がなされる。また、監査報告書において、監査人の署名に加えて、監査人の職業会計士の称号、又は監査人や監査事務所が当該国の適切な許認可を受けていることについて明示することが求められることがある。我が国の場合、監査法人が会社その他の者の財務書類について証明をする場合には、当該証明に係る業務を執行した社員は、当該証明書にその資格を表示して署名しなければならないとされている(公認会計士法第34条の12第2項参照)。本報告書でいう署名は、自署又は電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年(2000年)法律第102号)第2条第1項の電子署名)をいう。
A66
欠番《⑬JP監査事務所の所在地》(第48項参照)
A66-2JP
我が国の場合、監査事務所の所在地として、例えば、監査責任者が執務する事業所の都市名又は登記されている事業所名を記載する。また、国外で流通する外国文の監査報告書の場合は、監査事務所の所在地として、例えば、監査責任者が執務する事業所の都市名及び国名を記載する。

⑭監査報告書日(第49項参照)

A67
監査報告書日は、監査人がその日付までに気付き、かつその日付までに発生した事象や取引の影響を検討したことを、利用者に知らせるものである。監査報告書日の翌日以降の会計事象と取引に対する実務上の指針については、監査基準報告書560「後発事象」第9項から第16項に記載されている。なお、監査人が財務諸表に対する意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手した日よりも前の日付を監査報告書に付してはならないとされており、審査は、監査人が十分かつ適切な証拠を入手したかどうかを判断する一助となるため、監査報告書の日付は、関連する審査を完了した日以降とすることになる。
A68
監査意見は財務諸表を対象としており、財務諸表に対する責任は経営者にある。したがって、監査人は、関連する注記を含む全ての財務諸表が作成され、認められた権限を持つ者が、当該財務諸表に対して責任を受け入れたという証拠を入手するまでは、十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断することはできない。
A69
国によっては、法令等によって、関連する注記を含む全ての財務諸表が作成されたと判断する責任を有する個人又は機関(例えば、取締役)が定められ、必要な承認プロセスが規定されている場合がある。その場合、当該承認に関する証拠を、財務諸表に対する監査報告書日以前に入手することになる。一方、承認プロセスが法令等によって規定されていない国もある。その場合、監査人は、関連する注記を含む全ての財務諸表が作成されたと判断する権限を有する特定の個人又は機関を識別するため、企業の経営とガバナンスの構造を考慮して、企業が財務諸表の作成及び確定に当たって従う手続を検討することになる。
A70
我が国では、株主総会又は取締役会による財務諸表の最終承認が要求されているが、そのような最終承認は、監査人が財務諸表に対する意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断するために必要なものではない。また、我が国では、法令等において、認められた権限を持つ者が、関連する注記を含む財務諸表に対して責任を受け入れた日は明確には規定されていないが、監査の完了時期が想定されている。一般に公正妥当と認められる監査の基準においては、財務諸表の承認日は、経営者確認書において、認められた権限を持つ者が、関連する注記を含む全ての財務諸表が作成されたと判断し、当該財務諸表に対して責任を認めた日付をいう。

(2)法令等により監査報告書の様式又は用語が規定されている場合(第50項参照)

A71
監査基準報告書200のA54項は、監査人が、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に加えて、法令等により要求される事項の遵守が求められる場合があることを説明している。法令等により要求される事項と我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準との間の差異が、監査報告書の様式や文言のみに関連しており、最低限、第50項(1)から(15)に記載された事項が監査報告書に含まれる場合には、監査報告書において、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠している旨を記載することができる。そのような状況においては、第50項(1)から(15)に含まれていない第21項から第49項の要求事項(「監査意見」区分と監査意見の根拠の区分の監査報告書の記載順序を含む。)は適用されない。
A72
法令等により要求される事項と我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準が整合している場合、本報告書の第21項から第49項により要求される監査報告書の様式と文言を採用することにより、監査報告書の利用者は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して実施されている監査の監査報告書であることを容易に認識することができる。

①監査基準報告書701により要求される情報(第50項(8)参照)

A73
法令等により、監査人は実施した監査に関する追加的な情報の提供を要求されることがある。追加的な情報には、監査基準報告書701の目的と整合する情報が含まれることがある。また、法令等により、追加的な情報に関する報告の内容及び程度が規定されることがある。
A74
我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準は、財務諸表監査に関係する法令等に優先するものではない。監査基準報告書701が適用される場合、法令等を適用するに当たって、本報告書第50項(8)に従い記載される区分が、監査基準報告書701の要求事項に相当する場合のみ、監査報告書において我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠している旨を記載することができる。そのような状況において、監査人は、監査基準報告書701に基づく監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告のうち特定の部分について、修正が必要となることがある。例えば、以下が挙げられる。・法令等が特定の見出しを規定する場合、「監査上の主要な検討事項」の見出しを修正する。・法令等により要求される情報が、監査報告書に記載される理由を説明する。例えば、関連する法令等を引用し、その情報がどのように監査上の主要な検討事項に関連するかを記載する。・法令等により記載事項の内容及び程度が規定される場合、監査基準報告書701第12項の要求事項と整合するように、法令等に規定された情報を補足する。
A75
監査基準報告書210は、関連する法令等により、監査報告書(特に、監査意見)について、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準の要求事項と著しく異なる様式や用語が規定されていることがあることを説明している。その場合、監査基準報告書210は、監査人に以下の評価を行うことを求めている。(1)財務諸表監査から得られる保証について誤解が生ずる可能性があるかどうか。(2)誤解が生ずる可能性がある場合、監査報告書に追加的な説明を記載することによって、そのような可能性を軽減できるかどうか。監査基準報告書210は、監査人が、このような誤解が生ずる可能性を、監査報告書に追加的な説明を記載することによっても軽減できないと判断した場合、法令等により要求されていない限り、監査契約を締結しないように求めている。監査基準報告書210では、このような法令等に準拠して実施される監査は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠したものではないため、監査人は、監査報告書に、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して実施された監査であることを示すような記載を行ってはならないとしている(監基報210第17項参照)。
A76
欠番《(3)我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準と他の監査の基準に準拠して実施される監査に対する監査報告書》(第51項参照)
A77
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に加えて、その監査に関連する他の監査の基準を遵守する場合、監査報告書において、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準と他の監査の基準の両方に準拠して監査を実施した旨を記載することができる(監基報200のA55項参照)。
A78
我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準と他の監査の基準の要求事項の間に不整合があり、それにより、監査人が異なる意見を形成する、又は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準では「強調事項」区分又は「その他の事項」区分として記載することが要求されている特定の状況において、他の監査の基準では「強調事項」区分又は「その他の事項」区分として記載しないことになる場合、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準と他の監査の基準の両方に言及するのは適切ではない。この場合、監査報告書は、準拠した監査の基準(我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準又は他の国の監査の基準のいずれか。)のみに準拠している旨を記載する。

9.財務諸表とともに補足的な情報が表示される場合(第53項及び第54項参照)

A79
企業は、法令等又は基準によって、適用される財務報告の枠組みでは要求されない補足的な情報を財務諸表とともに表示することが求められる場合がある。また、企業が、そのような情報を自主的に表示する場合もある。例えば、補足的な情報は、適用される財務報告の枠組みに関する利用者の理解を高めるため、又は特定の財務諸表項目に関する追加的な説明を提供するために表示されることがある。このような情報は、通常、付表又は注記の追加として表示される。
A80
本報告書の第53項は、その性質又は表示方法により財務諸表の不可分の一部である補足的な情報は、監査意見の対象となると記載している。この評価は職業的専門家としての判断に係る事項であり、例えば、以下の状況が考えられる。・財務諸表の注記に、当該財務諸表が他の財務報告の枠組みをどの程度遵守しているかについての説明又は調整を含めている場合、監査人は、財務諸表から明確に区別することができない補足的な情報であると考えることがある。また、財務諸表と相互に参照される注記又は付表も、監査意見の対象となる。・財務諸表の付録として含まれる独立した明細表において、特定の費用項目を開示する追加的な損益情報が開示されている場合、財務諸表から明確に区別することができる補足的な情報であると監査人は考えることがある。
A81
補足的な情報が監査意見の対象となっていることが、監査報告書の冒頭に記載する監査の対象において、財務諸表を構成するそれぞれの名称とともに関連する注記が含まれる旨の記載で十分明らかである場合には、監査意見の対象となる補足的な情報について個別に記載する必要はない。
A82
補足的な情報は、法令等によって監査対象とすることが要求されない場合がある。その場合、経営者は、補足的な情報を財務諸表監査の対象外とすることがある。
A83
監査人は、例えば、監査されていない補足的な情報が、財務諸表及び監査された補足的な情報と区分して表示されているかについて、また、当該情報に「監査対象外」である旨を明記しているかどうかについて検討することにより、監査されていない補足的な情報が、監査意見の対象であると解釈されるおそれがないかどうかについて評価する。
A84
経営者は、例えば、以下の方法によって、監査意見の対象であると解釈される可能性のある監査されていない補足的な情報の表示方法を変更できる。・財務諸表から、監査されていない付表又は監査されていない注記への参照を削除し、監査された情報と監査されていない情報の間の区分が十分に明確になるようにする。・監査されていない補足的な情報を、財務諸表以外の箇所に記載する、又は、それが不可能な状況の場合、最低限、監査されていない注記を、監査が要求される財務諸表に対する注記の後にまとめて記載し、監査対象外である旨を明記する。監査されていない注記が監査された注記の中に混在していると、当該注記も監査されたと誤って解釈される可能性がある。
A85
補足的な情報が監査されていないという事実は、監査基準報告書720に記載された責任を免除するものではない。以- 25 -上・本報告書(2023年1月12日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。-倫理規則(2022年7月25日変更)(修正箇所:第37項及び付録)-監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」(2023年1月12日改正)(修正箇所:第36項、A36項、A37項及び付録)

本文の出典:日本公認会計士協会『監査基準報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」』(最終改正 2024年9月26日)。公式ページ:JICPA 監査実務指針等の一覧(https://jicpa.or.jp/specialized_field/publication/kansa/#700)。

過去問:公認会計士・監査審査会ウェブサイト(論文式試験 監査論の試験問題、公共データ利用規約1.0)。「何を問われているか」とメモはほしゅが作成したもので、公式の解答ではありません。基準との対応づけは、ほしゅの独自の分析です。

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